個展のはじまり


ピカソは世界中の美術館に作品があるのに、僕の絵はどこにも展示されていない!
小学2年生だったAKASHIがふと口にした言葉。
それを聞いた私は思わず「じゃあ個展する?」と答えていました。
正直、シャイなAKASHIなら「やだ」って言うだろうと思っていたのに…
意外や意外、目を輝かせて「やる!」と。
ここから私たち親子の初めての個展づくりが始まりました。
コンクールではなく「個展」だった理由
コンクールに向かないAKASHIのスタイル
もしAKASHIが「お題に沿って描く」のが得意なら、コンクールに出していたかもしれません。
でも彼はとにかく「自分が描きたいものを描く」タイプ。
「これを描きなさい」と言われると、途端に筆が止まっていました。
夢は「画家」ではなく「ピカソ」

そしてAKASHIの夢は「画家になること」ではなく「ピカソになること」。
ピカソのように、生涯で何万点もの絵を描き続けたい。
その思いを伝える場としても「個展」はぴったりでした。
準備の日々と工夫
7か月で80点を描き上げた集中力

「やる!」と決めてから約7か月。
AKASHIはなんと80点近くの作品を描き上げました。
家族と仲間で役割分担
展示の準備はまさに家族総出。
- 額縁はダイソーで購入、大きい絵は昔のパズル用フレームを再利用
- 会場は夫と私が運営していたホテルの一室を格安で借りる
- HPやポストカード作りは夫に依頼
- 搬入搬出は家族+親友シゲさん(報酬は夜ごはん🍚)
- 新聞社の知り合いにお願いして記事にもしてもらう

妹のRIRIは展示タイトルを一生懸命手作り。小さな役割も個展を支える大切な仕事でした。

前日、シゲさんも加わって会場いっぱいに作品を並べました。みんなで力を合わせたからこそ実できた個展です。
グッズ制作と子どもたちの活躍

お金の勉強も兼ねて、クリアファイルやマグネット、カレンダーなどのグッズも制作。
AKASHIの同級生(小学2年生)がレジを担当してくれました。
さらに、忙しい時間帯には4年生や高学年の子たちも自然と加わって手伝ってくれて、会場全体が「子どもたちの力で動いている」ような温かい雰囲気に。
そして妹のRIRIは、人懐っこさを活かして来場者の案内係に。
「みんなで作った個展」だったのです。
個展で得られたもの
AKASHIが得た自信

会場には同級生、先生、保護者の方々がたくさん来てくれました。
交流が生まれ、お母さん同士のつながりも広がりました。
そして何よりも大きかったのは、AKASHIが自信を持てたこと。
「すごいね!」と声をかけてもらえた経験は、今も彼の原動力になっています。
RIRIの「ありがとうのきもち」

さらに、妹のRIRIは折り紙で「ありがとうのきもち」といううさぎを作り、来てくれた方一人ひとりに手渡しました。
小さなうさぎに込められた感謝の気持ちに、多くの方が感動してくださり、「これは宝物にするね」と言ってくださる方も。
その光景に、場が一層あたたかい雰囲気に包まれました。
来場者からの感想

そして後日、ラインや直接の会話でたくさんの感想をいただきました。
「作品がすごかった!アーティストだね」という言葉はもちろん嬉しかったのですが、それ以上に、
- 「すごく楽しかった!」
- 「友達たちに囲まれてとても優しい雰囲気の個展だった」
- 「子どもにも刺激になった!」
そんな声が心に残り、ただ絵を観てもらうだけではなく、来てくれた方々が温かい気持ちで楽しんでくれたことが、私たちにとって一番の宝物になりました。
振り返って思うこと

アート関係の知識があったわけでもなく、全部が手探り。
無駄に時間をかけて疲れたこともあったけれど(笑)、
素人だからこそ「どうやったら楽しくなるか」を必死で考えられたのかもしれません。
そして親が必死に取り組む姿を、子どもはちゃんと見ています。
AKASHIはもちろん、妹のRIRIにとっても「挑戦する背中」を見せられたのかなと思います。
次の目標へ
こうしてホテルの一室から始まった初めての個展(2023年12月)。
その経験を経て、次の挑戦は 沖縄県立博物館・美術館での個展(2024年6月) でした。
「ホテルから美術館へ」。
息子が次のステップに進む姿を見て、私自身も「挑戦を続けることの大切さ」を改めて感じました。
そのお話はまた次回、書いてみたいと思います。
まとめ
「個展って特別な人しかできないもの」と思っていました。
でも実際は、工夫すれば誰でもできる。
大事なのは「やってみたい!」という気持ちと、
それを一緒に楽しみながら支えてくれる人たち。
AKASHIの個展づくりを通して、私はそのことを強く感じました。
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