子どもの“好き”をどう育てる?ピカソに憧れたAKASHIの成長記

等身大のゲルニカを描く9歳のAKASHI AKASHIの軌跡

「なんで僕の絵は飾られていないの?」

そんなひとことから、AKASHIの個展ストーリーが始まりました。
塗り絵が得意だった幼少期、ピカソとの運命の出会い、そして等身大ゲルニカの制作へ──。

絵が好きな子どもをどう応援する?
「才能」ってどうやって育つの?

今回は、AKASHIが個展を開くまでのストーリーを振り返ります。


“ピカソになりたい!”から始まった、AKASHIの個展ストーリー

はじまりは“ぬりえ上手な3歳”から

AKASHIが絵を描き始めたのは3歳ごろ。
最初はぬりえからでしたが、そのときすでに線からはみ出さずに丁寧に色を塗っていました。

ぬりえに集中する幼いAKASHI。色を丁寧に塗る様子
塗り絵が大好きだった頃。線からはみ出さず、集中して塗っていた。

ところが、年少のときに通っていた幼稚園で、絵の授業中に先生から「紙からはみ出さずにこう描きなさい」と手を持って描かされたことがきっかけで、「幼稚園に行きたくない」と言い出しました。結局、退園することに。

あのときの出来事は、今でも母として胸に残っています。
大人の「正しさ」が、子どもの自由を奪う瞬間を目の当たりにした出来事でした。

才能を見抜いてくれた先生との出会い

その後、妹RIRIが通っていたスクールに一緒に通うことになり、出会ったのが園長先生のTeacher Anne。

ある日、「今日は朝から集中して絵を描いていたから、午後から公園に行く予定だったけどAKASHIはそのまま描かせたよ。この才能はすごいから大切にしなさい」と言ってくれたのです。

線だけで自由に描かれたAKASHIの初期作品。タイトルや説明のない抽象的表現。
先生に「才能がある」と言われた頃の作品。何かを表現しようとする気持ちが、線にあらわれている。

その言葉に、初めて「この子の“好き”は、大切にしないと」と思えました。

アートの芽を育てる日常

年中からは別の幼稚園に通いましたが、コロナの影響で家にいる時間が増えました。
そのときはダイソーで画材や折り紙をたくさん買って、部屋に置いておくだけ。

するとAKASHIは自然とそれを使って創作を始めていました。
ポケモンにハマれば、ポケモンカルタを一緒に作り、好きなキャラクターのぬりえを自分でファイルにまとめたり、切り絵や折り紙をひたすら作っていたり。

私たちは、「興味を無理に引き出す」のではなく、「きっかけと道具だけそっと差し出す」スタイルで、ずっと寄り添ってきました。

運命の出会い:箱根で観たピカソと「ゲルニカ」

2023年1月、箱根の森美術館を訪れたときのこと。
ピカソ館でAKASHIは初めてピカソの作品を目にし、強く惹かれました。

その後、夫の実家にあったピカソの画集をもらい、夢中でページをめくる毎日。
中でも「ゲルニカ」と出会ったときは、「びびび!」と衝撃を受けたようでした。

ピカソの「ゲルニカ」柄のリュックを背負う男の子。夢に向かって歩き出す後ろ姿。
ピカソになりたい。そう語ったAKASHIの“夢を背負った”通学スタイル。未来への一歩。

「ピカソになりたい!」と言い始め、筆箱も、学校のリュックも、全部ゲルニカ柄に。

第一回個展:レッドルームでの挑戦

2023年4月、AKASHIが「なんでぼくの絵はどこにも飾られていないの?」と言ったのがきっかけで、「じゃあ個展やってみる?」と聞くと、目を輝かせて「やる!」と。

そこから準備が始まりました。
作品は黒の厚紙に色鉛筆や水彩で描き、グッズも手作り。

第一回個展が開催されたレッドルーム。壁や柱にAKASHIの絵が展示されている。
沖縄市のホテルの一室を活用した第一回個展。AKASHIの作品が額装され、まるで本物のギャラリーのように。

2023年12月、沖縄市のホテル「トリップショットホテルズ・コザ」のレッドルームで初個展を開催。
AKASHIは92作品を展示。妹RIRIも7作品のコーナーを持ちました。
2日間で約250名が来場してくれました。

第二回個展と「ゲルニカ原寸」への挑戦

第一回個展が終わった翌日、友達のご家庭からアクリル絵の具とキャンバスをもらい、AKASHIは「これに描きたかったんだー!」と感激。

次の目標は「美術館で個展がしたい」。
そして2024年6月、沖縄県立博物館・美術館での個展が実現。

AKASHIは120作品、RIRIは17作品を展示し、2日間で約380名が来場しました。

ところがその後、しばらく描く意欲を失いかけます。
「何を描いたらいいか分からない」と。

そんなとき、アパレルブランドをされている友人が「模写を見てみたい」と言ってくれて、ピカソやムンク、ゴッホなどの模写に夢中に。

そして「ゲルニカの等身大を描きたい!」と宣言。
大きすぎてキャンバスでは難しい中、「ベニヤ板があるから使っていいよ」という友達の父の提案で、縦182cm×横455cmの大作が誕生しました。

AKASHIが描いた等身大サイズの「ゲルニカ」の模写作品。白黒で描かれた巨大な壁画風のアート。
ベニヤ板5枚に分けて描いた大作「ゲルニカ」。ピカソの表現に全身全霊で挑んだ、AKASHI渾身の模写作品。

描きながらモチーフや意味も自分で調べ、2ヶ月半かけて完成。
2025年4月の個展ではその等身大ゲルニカも展示。5日間で約900名が来場し、新聞・テレビの取材もありました。


そして、次のステージへ

絵を描くAKASHIの後ろ姿。黒地のキャンバスにカラフルな絵を描いている様子。
「次は何を描こう?」AKASHIの創作はまだまだ続く。想いと色をのせて、未来へ一歩ずつ。

大きな挑戦を終えた今、AKASHIはまた“自分だけの絵”を探し始めています。
何を描くか、どう描くか。

その模索こそが、きっと次の扉を開く鍵になるはず。


【まとめ】

どんな子どもにも、「これが好き!」という瞬間がある。
それをどう受け止め、どう育んでいくかは、きっと親にできる最大の応援なんだと思います。

これからもAKASHIは、自分の感じたことを、自分のやり方で描いていくはずです。
そして私もまた、そのそばで見守っていきたいと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
感想やAKASHIへの応援メッセージも、ぜひコメントでいただけたら嬉しいです♪

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